よく聞かれるので、思い出話を少し。
SHALLE TONNE(シャレトンネ)をオープンする前、
私は介護の仕事をしていました。
共働きの両親に代わって、
私の面倒を見てくれたのは祖父母。
その影響から福祉の大学に進み、
卒業後は認知症専門のデイサービスで、
管理職兼現場として
たくさんのご利用者と過ごしてきました。
凝り性な性格もあり、
介護のアプローチをとことん追求。
けれど、ある時から送迎中に強い眠気、
目覚めに頭痛、そして鼻血。
受診の結果は、軽い鬱と起立性低血圧。
「一度、介護から離れよう」
そう決めた私は、
自分を表現できる場所を作りたいと考えるように。
たどり着いたのが「カフェ開業」の道。
嗜好品にこだわりのなかった私は、
まず紅茶とコーヒーの通信講座を申し込みます。
先に届いたのはコーヒー講座。
箱を開けて、香りを嗅いだ瞬間に
直感で「違うな」とすぐに返送。
次に届いた紅茶講座。
茶葉の香りを嗅いだ瞬間に
「これだ」と感じ、すぐに勉強を始めました。
数ヶ月、紙に書いて送るような
通信講座で学び、なんとか合格。
でも、学びは形だけで、実感がない。
「本当にこれでいいの?」
そんな想いが拭えませんでした。
そしてある日、ふと
『そうだ、イギリスに行こう』と。
今思えば、かなり浅はか(笑)
でも、「本場に行けば何かわかるかも」という期待を胸に、
早期退職して英語の勉強を始めました。
(紅茶の産地は主にインドやスリランカ)
それは、
ワーキングホリデービザが
取得できる最後の年でした。
当時は、まだビザが取れてもいないのに、
なぜか“行ける気”がして動き出していました。
気づいたら本当に結果がついてきていた。
まさにミラクル。
渡英直前には大好きな祖父が入院。
3月は毎日泊まり込みで付き添い、
4月にイギリスへ旅立ちました。
(その後祖父は回復して4月中に退院)
思い返すと──
高校の世界史は200点満点中23点、
赤点常連だった私。
でも、なぜか“コロンブス”の単元だけは
興味が湧いて高得点だったり。
大学の卒業アルバムには
「パリに行きたい」と書いてあって、
実際7年後、イギリスからアイスランド旅行中に、
日本語を話せるパリ在住の方と出会い、
そこから本当にパリにも行ったり。
点と点が、線になっていくような感覚。
それが今に繋がっています。
それは、
紅茶と向き合う前の、
私の“旅の始まり”でした。
こんなところが、第一章。