「よし、本場のイギリスへ行こう!」
仕事を辞め、海外に行く前に、自家用車で本州一周旅行を決行。
約1か月間、北は青森、南は鹿児島まで時間をかけて日本を周りました。
秋田の温泉郷で知り合ったイタリアの友達は、
当時アイルランドに住んでいると言ったので、イギリスから会いに行くことを約束。
2016年1月には、偶然にもワーキングホリデービザを取得。同年4月に渡英しました。
英語は日本一周の際に車内で発音矯正した程度で、事前に勉強することもありませんでした。
語学学校に入った最初の一週間は、高校英語を思い出す感覚で精一杯。
生活していくために、慣れない英語と奮闘しながら、生まれて初めてベーカリーで働きました。
最初は仕込みだけだったのですが、慣れてくると接客や買い物を頼まれるようになり、
わからない英語を無理やり引き出し、パンの説明や日常会話をするようになります。
渡英して6か月(実質は3か月目から)、英語の伸び悩みに苦しみ、
語学学校を辞めてフルタイムで働くことにしました。
初めはティールームに履歴書を持っていくのですが、門前払いが当たり前。
つたない英語では接客業として全く戦力になりません。
そこで、日本食レストランで働くことにしました。
日本食レストランでは日本人スタッフが多く、
日本語しか話さないのではという固定概念を持っていたのですが、
キッチンスタッフはほとんどスリランカ・タイなど東南アジア系が多く、
ホールスタッフも日本食が好きな外国人スタッフも在籍。
お客様も半数以上が外国の方で、結局、共通語は英語でした。
最初はウェイターとしてメニューを覚えるだけでなく、
アレルギーやベジタリアン、ヴィーガン、宗教の関係などで説明をしなければならず、
語学学校で仲の良い友達と話していた語彙では到底追いつかないほどの単語の数々。
料理の出し方や、盛り付けのチェック、ドリンクを作り、在庫の管理、会計業務など、
業務も多岐に渡りました。
一番勉強になったのは、「電話での予約対応」でした。
普段、顔を合わせて会話しているときは表情や口の動きである程度予測できたのですが、
受話器を通すと名前がほとんど聞き取れません。
訛りや人の癖で聞き返すことも多々あり、怒られることもありました。
慣れてくると常連のお客様が声をかけてくださり、
現地の方と会話する機会が持てるようになりました。
また、一緒に働いていたスタッフとも仲良くなり、休日に一緒に遊ぶことも増え、
英語を使う機会がさらに増えました。
旅行先では必ずティールームに入り、本場のティータイムを体験しました。
イギリスに限らず、ヨーロッパを周遊して感じたのが、「時間を贅沢に過ごす」ことでした。
いつでも時間があると公園に行こうと言われます。
そこでは芝生に座って話をしたり、お菓子を食べたり、昼寝したり...。
「今日はこれ」、「明日はこれ」と、予定を決めて行動していた自分には衝撃的でした。
本当にただその時間を贅沢に過ごしているのです。
「時間を贅沢に」がひとつのコンセプトになりました。